2021年5月27日木曜日

郷土の発展につくした先人

          郷土の発展につくした先人 ‐杉浦健造-

昨年度から、全国で使われる小学校社会科4年生の教科書(教育出版)に杉浦健造・三郎医師の取り組みが掲載されました。単元は「地域の人々を病気から救う」という箇所です。

 その関わりのなか、今年度「ノンタン」シリーズや「はらぺこあおむし」など子どもの本を出版している偕成社(児童書出版社)から「郷土の発展につくした先人」(医療)という書籍が刊行されました。野口英世・杉田玄白・緒方洪庵、華岡青洲・北里柴三郎ら蒼々たるメンバーに交じり杉浦健造医師も掲載されています。

「原因不明の病 地方病の撲滅に取り組む」という表題に沿って、「西洋医学を学び、杉浦醫院をつぐ」「山梨の人々を苦しめた地方病」「地方病から人々を救いたい」「犯人は寄生虫」「ミヤイリガイ撲滅運動開始」「ひきつがれる健造の情熱と終息宣言」といった流れで構成されています。

 とてもわかりやすい内容で小学生にはちょうど良い本です。地方病の入門書として大人が読んでも面白いです。昭和町立図書館でさっそく購入していただいたので、借りることができます。目を通してみて下さい!


 

2021年5月9日日曜日

「俺は地方病博士だ!」



      昭和町立図書館で借りられます!

大正2年に宮入先生がミヤイリガイを発見し、これにより地方病の原因、生活史はすべて解明され、地方病撲滅の取り組みが始まります。

さっそく、翌年山梨県医師会は当時の知事(若林知事)に「地方病撲滅方法に関する建議書」を出し、ようやく大正6年に採取法によるミヤイリガイ対策が実施されます。大正7年には山脇知事が「県民の健康を侵害し、生産能力を著しく萎痺させるが故にこの予防を講じ撲滅を企図するのは本県衛生上の急務に属す」との告諭が出され、官民こぞって地方病撲滅の取り組みが始まることになります。

具体的活動としては、前述したミヤイリガイの採取活動ですが、大正2年の「衛生展覧会」や大正4年の「宮入慶之助先生講演会」など、初期段階は県民に向けての啓蒙活動が主でした。特に重要視されたのは、子どもたちを川遊びなどから防ぐ啓蒙活動が急務とされます。

そこで、山梨地方病研究部(医師会)は、大正6年に、当時としては画期的なイラスト16ページ多色刷りの児童向け予防冊子「俺は地方病博士だ」を作成します。凸坊(でこぼう)と茶目子(ちゃめこ)が川の中で遊んでいると、地方病博士が来て「あぶないあぶない!」と襟首をつかんで川から2人を引きあげて、地方病のことを話して聞かせます・・・ストーリー性を持たせ、小学校の子どもたちにも興味、関心を持たせるような内容になっています。有病地の児童に無償で配布し、全教員に授業で読み聞かせることを義務付け、感想文など書かせ啓蒙に努めたようです。

 

この冊子は、前中野良男館長が口語訳(初版)をしたものが当館にあります。今回は 昭和町立図書館のN司書さんが冊子にし、書籍として登録もしてくれましたので、昭和町立図書館から借りることができるようになりました。子どもたちには地方病にかかってほしくない!という当時の関係者の思いが伝わってくる冊子です。是非、手に取って読んでみて下さい。

もちろん杉浦醫院にはありますし、県立図書館にもあります。

※この絵を描いた画家「中澤年章」(中央市出身)については、当ブログ「四方山話」の266~268「浮世絵師・中澤年章」をご覧ください!

 

 それから、毎月一度発行し、昭和町内の方々に見ていただいている(組回覧)「昭和町風土伝承館杉浦醫院だより」が、昭和町立図書館でも閲覧できるようになりました。見落としたり、再度読む場合は、図書館でご覧ください! 

ラ・カンパネラ♪

こんにちは。杉浦醫院です。 先日、偶然にも3組の方々が同じ時間帯にご来館頂きました。 1組目は県内の方々で、その中のお一人は地方病経験者でした。 2組目は他県からお越しで、大学で「地方病」を学ばれた研修医の方々。 3組目も他県からお越しで、SNSのおススメで杉浦醫院が紹介されてい...