2021年5月9日日曜日

「俺は地方病博士だ!」



      昭和町立図書館で借りられます!

大正2年に宮入先生がミヤイリガイを発見し、これにより地方病の原因、生活史はすべて解明され、地方病撲滅の取り組みが始まります。

さっそく、翌年山梨県医師会は当時の知事(若林知事)に「地方病撲滅方法に関する建議書」を出し、ようやく大正6年に採取法によるミヤイリガイ対策が実施されます。大正7年には山脇知事が「県民の健康を侵害し、生産能力を著しく萎痺させるが故にこの予防を講じ撲滅を企図するのは本県衛生上の急務に属す」との告諭が出され、官民こぞって地方病撲滅の取り組みが始まることになります。

具体的活動としては、前述したミヤイリガイの採取活動ですが、大正2年の「衛生展覧会」や大正4年の「宮入慶之助先生講演会」など、初期段階は県民に向けての啓蒙活動が主でした。特に重要視されたのは、子どもたちを川遊びなどから防ぐ啓蒙活動が急務とされます。

そこで、山梨地方病研究部(医師会)は、大正6年に、当時としては画期的なイラスト16ページ多色刷りの児童向け予防冊子「俺は地方病博士だ」を作成します。凸坊(でこぼう)と茶目子(ちゃめこ)が川の中で遊んでいると、地方病博士が来て「あぶないあぶない!」と襟首をつかんで川から2人を引きあげて、地方病のことを話して聞かせます・・・ストーリー性を持たせ、小学校の子どもたちにも興味、関心を持たせるような内容になっています。有病地の児童に無償で配布し、全教員に授業で読み聞かせることを義務付け、感想文など書かせ啓蒙に努めたようです。

 

この冊子は、前中野良男館長が口語訳(初版)をしたものが当館にあります。今回は 昭和町立図書館のN司書さんが冊子にし、書籍として登録もしてくれましたので、昭和町立図書館から借りることができるようになりました。子どもたちには地方病にかかってほしくない!という当時の関係者の思いが伝わってくる冊子です。是非、手に取って読んでみて下さい。

もちろん杉浦醫院にはありますし、県立図書館にもあります。

※この絵を描いた画家「中澤年章」(中央市出身)については、当ブログ「四方山話」の266~268「浮世絵師・中澤年章」をご覧ください!

 

 それから、毎月一度発行し、昭和町内の方々に見ていただいている(組回覧)「昭和町風土伝承館杉浦醫院だより」が、昭和町立図書館でも閲覧できるようになりました。見落としたり、再度読む場合は、図書館でご覧ください! 

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