今年は、地方病流行終息宣言から25年の節目の年になりますが、残念ながら、地方病は確実に忘れ去られ、風化しつつあります。そんな危機感から、昨年度から出前授業を始めました。昨年の11月、12月に6校、12クラス(4年生)で出前授業をさせてもらいました。子どもたちの感想が届きましたので、2回にわたり紹介します。
児童の感想。
この子のようにたった1時間の授業ですが、私の話したこと、押さえるべき点を実にしっかり理解しているのには驚きます。
こんな感想もインパクトがありますね。
・ビックリしたことが5つあります。1つ目はセルカリアという虫はひふを食いやぶり体内に入ってしまうという事です。2つ目は大人より子どもの方がかかりやすいという事。3つ目は杉山なかさんが自分でかいぼうを願いでたこと、医者のねこが発病してかいぼうして虫を発見、4つ目はこの場所が臼井沼と言われていた事 5つ目は115年の争いをしていたという事、そしてまだアジアではかかっている人がたくさんいるという事。
子どもたちは分かったことを土台にし、自分の考えや思いを素直に表現しています。何よりうれしい事は、子どもたちが当時の人々に思いをめぐらせ、その時代に生きていた人々に想像力を働かせていることです。地方病に罹った人の辛さ 先人の苦労、努力、工夫に共感している様子がうかがわれます。この教材の持つ大切な視点である「協働することの重要さ」を指摘している児童もいます。
・平成8年に終わったことが宣言されたといっていたけど、またはやってしまったらどうするんだろうと思いました。今の田富北小は、昔は臼井沼でミヤイリガイという貝がたくさんいたということが分かりました。今ここは危険な感じがないくらい安全です。それを考えると昔の人達ががんばってくれたから、今の安全なくらしができているんだと思いました。
・すごくなおすのも大変な地方病の話はとても分かりやすかったです。ミヤイリガイから出てきた虫がひふを食い破って入ることは「ぞっと」しました。人だけが地方病にかかることしか聞いたことがなかったので、ほにゅう類がかかると聞いてこわいなと思いました。平成
8年に地方病にかかる人がなくなり安全なことを宣言して安心しました。昔の人は地方病にかかる人が少なくなるために工夫をして、人々のために協力したと思いました。
・おなかが大きくなるげんいんは日本住血吸虫という虫がひふを食いやぶって体の中に入るからだということが分かりました。ミヤイリガイをなくすには水路をコンクリートにしたり、火でやっつけたりすれば、日本住血吸虫もいなくなるということもわかりました。杉山なかさんは、地方病になってげんいんを調べてほしい,かいぼうしてほしいと自分から言いました。地方病のげんいんを調べるためにすごく勇気のある人だなと思いました。115年もかけて日本住血吸虫をたいじしてすごいと思いました。地方病の人は、つらい思いをしながら生きてきたんだなと思いました。
・地方病についてくわしく知ることができました。たとえば血管に住みつき、そこにたまごをうんで血の流れを悪くしてしまうということ、それでお腹が大きくふくらんでしまうとこと、私はこわくなってしまいました。もし自分がなってしまったと考えるだけで泣きたくなります。・・・・・・
授業の最後に、まだアジアの国々では地方病に苦しんでいる人がいると聞いたときはぞっとしました。私は改めて日本に住んでいてよかったと思いました。地方病に苦しんでいる人々の力になれたらなと少しくやしくもなりました。・私は今回の事で初めて地方病の事を知りました。地方病はかかったらこわくて命がけなんだなと思いました。もう日本ではなくなっても世界であるなら日本でやった事を世界に届けたらいいんじゃないかと思いました。すぎうらけんぞう、さぶろう親子や三神三朗はすごいと思いました 最初虫を見た時は気持ち悪いと思いました。
・私は初めて知ったことがたくさんありました。115年もかけてたいじしたことや、人のひふをやぶって体に入ること、そのほかにもたくさん教えてもらいました。話を聞いて、人々がど力してげんいんをつきとめたということが分かり、「すごく大変で大事なことをやりとげているんだな」と思いました。