2021年2月21日日曜日

地方病は忘れ去られている!


-危機感はこの調査から-  

残念ながら、地方病は確実に忘れ去られ、風化しつつあります。そんな危機感から今年度より出前授業を始めました」(もみじだよりブログ1月)と書きましたが、その危機感は、下記のアンケート調査です。 

 平成29年(2017年)に「比較総合医療学会」が山梨県内の中学生と成人を対象に地方病についてのアンケート調査を実施しています。中学生は、甲府、甲斐、韮崎、南アルプス市の4市と昭和町の公立中学生1949人、成人は319人を対象に計20項目について質問をしています。
  中学校の正答率は「病原体の名前は(答え・日本住血吸虫)」が0.26%、「媒介する生物は何(宮入貝)」が2.15%、「どこから人に感染するか(皮膚)」が24.1%。県が昭和36年(1961年)に旧八田村と旧双葉町の中学生計785人に同様の質問項目で調査した際の正答率は、それぞれ83.9%、92.9%、98.8%で今回のアンケートと比べると大きな差がありました。 成人では「どこから人に感染するか(皮膚)」の正答率は、55歳以上が77.8%、40~54歳が47%、20~39歳が27.4%で年齢が低くなるほど正答率が下がる傾向が見られました。
  調査対象の4市1町は、有病地の中でも地方病が猛威を振るっていた地域ですが、正答率はこの程度です。「病原体の名前は(答え・日本住血吸虫)」を答えられたのが0.26%ですから、中学生1949人中で5人余り、「媒介する生物は何(宮入貝)」が2.15%で42人余りということですから、これは驚きの数字です。

地方病の関する認知度調査(中学生)

質問事項

正答率

1961年

2017年

地方病の原因となる病原体は何か

日本住血吸虫      

83.9

0.26

地方病はどこから感染するか

皮膚

98.8

24.1

地方病を媒介とする生物はどこに生息しているか

水田

81.1

24.6

地方病を媒介とする生物は

宮入貝

92.9

2.15











 










また、もみじだよりブログ9月に紹介しましたが、県内の社会科副読本(各市町村教育委員会で作成、3・4年生で使用)に「地方病」についての記載があるのか県内市町村(有病地)にアンケート調査をしました。
 その結果は以下の通りです。
   ○現在使用している社会科副読本では、11市町村のうち5市町村で掲載。 
 ○市町村合併前の社会副読本科では、25市町村うち6市町村で掲載
  思ったより地域で使う社会科副読本にも地方病についての記載がないことがわかりました。 ということは、地方病は有病地の学校でさえあまり教えられてない状況ですので、上記のびっくりするような正答率になるのは、至極当然のことです! 

 今の状況では、地方病は確実に忘れ去られ、風化していきます。そこで、今年度から、まずは未来を担う子どもたちにしっかり地方病の歴史を学んでもらおう!ということで、今年度から出前授業を始めたわけです。
 
 ※昭和町では、他の4市の中学生に比べ正答率が大幅に高かった結果が出たそうです。昭和町の社会科副読本には地方病のことはしっかり記載されていて(10頁)、また、毎年町内3小学校(押原・西条・常永)の児童が社会科の授業で当館(杉浦醫院)に見学に来ているので、その成果かと思われます。

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