2021年3月1日月曜日

「鼓動」と「中央線」

 「鼓動」という短歌の文芸雑誌があります。

「2021.NO,12春」の号に、その会員の鮎川栄さんが、「竹林のシンフォニー」というエッセイを寄せ、杉浦醫院の日本庭園の様子、特に池の周辺に植えてある竹林の成長の様子を素敵な文章で紹介してくれています。全文を載せたい所ですが、紙面の都合で一部抜粋します。

・・・池の周辺の竹林には、直径10センチから20センチほどの竹が、5、60本植えられ、手入れもよいので、筍が成長する様子を間地かで観察できる。・・・・・・硬い地面を割り、モグラがひょっこり顔を出すように、筍は先端のヒラヒラとした葉に水滴をつけて現れ、日毎、ぐんぐんと成長し、1週間もすると1メートルくらいになる。その筍に朝日が背後から当たると、まるで輝くマントをまとった騎士のように、繊毛についた水滴がキラキラと輝き、その様子は赤や緑の光がシンフォニーを奏でているように見えるほどである。

 それから、2週間もすると、筍は5、6メートルに成長し、それまで身を包んでいた皮は、根を守る数枚を残して、下から順番に削がれてゆくのであるが、皮を脱いだ青竹の幹の清しさは、元服を済ませた若武者のようにも見える。」

光景が目に浮かび、流石と思わせる名文です。最後は『「毎日の生活の中でも、細やかな不思議を発見する楽しみと「トキメキ」を持つことを、この竹林の「筍」は、教えてくれたように思う』と文章を閉じています。

実は、鮎川さんは杉浦醫院のすぐ近くにお住まいで、杉浦醫院の庭園は散歩コースだと聞いています。エッセイの最後には本醫院の紹介もしていただいています。ありがとうございます!

 

 話題は変わり、杉浦醫院には、木喰上人・微笑仏の研究家として有名な丸山太一氏の蔵書を集めた「地平文庫」がありますが、その丸山氏が度々執筆していた「中央線」という総合文芸誌(発行人・大村智、編集人・蔦木雅清)があります。昭和30年代前半にはすでに発行されていたという老舗の文芸誌です。

その「2020年、第77号」に、遠藤文子さんが「杉山なか-少女編-」として、杉山なかの人生(地方病に罹り自ら解剖を申し出た農婦)を小説で書いています。読み応えがある内容ですので、是非お読みいただければと思っています。(「中央線」は本館にもあります)

実は、この遠藤さんは「もみじだより10月(杉浦醫院HPのブログ)」で紹介した地方病の先駆的な授業実践をした遠藤美樹先生の奥様です。夫婦揃って地方病に関心を持たれているとはビックリです!


 

  

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ラ・カンパネラ♪

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