杉浦醫院病院棟資料館、正面玄関左手の土壁には、魚の絵が彫られています。
昭和4年(1929年)建築の病院棟は昭和52年(1977年)まで、杉浦醫院9代目杉浦三郎医師の病院棟です。
この魚の絵はいつの時代に彫られたものなのか…戦前なのか…戦後なのか…50年弱この地に病院棟を構えた期間に彫られたもので間違いがありません。
内科医の三郎医師でしたが、この病院に訪れる患者さんの8割以上が「地方病」に罹患した方々が訪れる病院として、先代の8代目杉浦建造医師の時代から有名でした。
朝から地方病に罹った患者さんが杉浦醫院に殺到し、待合室だけでは納まり切れず庭先にまで列ができたそうです。
そんな庭先に並んでいた子供たちが、診察を受けるまでの時間を持て余し、庭先で地面に描く絵では飽き足らず、小石もしくは釘のような物で病院棟の土壁に絵を掘って?描いていたのでしょう…
しかし他所の家に落書きは、現代では犯罪となるケースも多いですが…当時は…?
9代目三郎医師は温厚な先生で有名だったそうです。子供たちが描いた落書きを「上手な絵だね」と評価してあげていたそうです。
そうなると子供たちの絵で四方八方、壁の至る所に落書きが!!三郎先生に褒めてもらいたい一心で描いていた子も居たかもしれません。
現在は漆喰で落書きだらけの壁を塗り替えましたが、正面玄関の魚の落書きだけは当時のまま、壁の塗り替えはせず残しました。
当時の杉浦醫院に通院していた患者さんの風景を、この魚の「落書き」を通し、過去に思いを馳せてご覧になって頂けたらと思います。
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